ナッツは体に良い、は定説になりつつあります。
一方で、「体に良いけど、食べ過ぎは良くない」という説もあります。
個人的には、砂糖をふんだんに使ったおやつを食べるくらいなら、ナッツをたくさん食べた方がいいと考えています。
ナッツの食べ過ぎが良くないのはカロリーが高いから?
確かにナッツのカロリーは高いです。
ナッツの栄養成分の多くは脂質なので必然的にカロリーは高くなります。
この「脂質だからカロリーが高い」とはどういうことでしょうか?
カロリーの計算方法
カロリーとはエネルギーの単位です。
食事からカロリーをとるには、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質の3大栄養素を食べる必要があります。
具体的には、糖質とタンパク質は1g当たり4kcal、脂質は1g当たり9kcalのカロリーになります。
(ビタミンをどんなにたくさん摂っても1kcalにもなりません。)
同じ量の食べ物を食べた場合、糖質とタンパク質に比べて、脂質は2倍以上のカロリーを摂取することになります。
これが「脂質だからカロリーが高い」の答えです。
ここで考えて欲しいのは、脂質には色々な種類があるということです。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸
脂質は大きく分けると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
不飽和脂肪酸はシス型とトランス型に分けられ、トランス型の不飽和脂肪酸を俗にトランス脂肪酸と呼んでいます。
トランス脂肪酸は自然界ではごく少量しか存在せず、液体の油から個体の脂を人工的に作る過程で生成されます。
つまり、人工的に作られたマーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどがトランス脂肪酸の塊ということです。
悪名高いトランス脂肪酸
一般的に、オリーブオイルなどの不飽和脂肪酸は体に良いよされており、バターなどの飽和脂肪酸は心疾患等のリスクが上がると言われています。
ただし、飽和脂肪酸が体に悪いという確固たる立証はされておらず、確かなことは分かりません。
(げんにバターコーヒーなどが体に良いとしている論文が多数あります。)
一方で、トランス脂肪酸が体に悪いことはほぼ事実であり、EUなどは食品中のトランス脂肪酸濃度の上限を厳格に決めており、アメリカは加工食品中に含まれるトランス脂肪酸量の表示を義務付け使用の規制をしています。
日本では、厳格な規制や表示義務はありませんが、農水省は公にトランス脂肪酸の悪影響を認めており、
トランス脂肪酸の摂取量の目安を「総摂取カロリーの1%未満」というWHOの指針を紹介しています。
1日の摂取カロリーが1900kcalだとすると、トランス脂肪酸の上限は約2gまでとなります。
ナッツの脂質は善良なる不飽和脂肪脂肪酸
ここで話をナッツに戻すと、ナッツの脂質は善良なる不飽和脂肪酸です。
同じカロリーでも、トランス脂肪酸の100kcalと不飽和脂肪酸の100kcalでは健康に対する影響は明らかに違います。
「カロリーが高い」という理由だけでナッツの食べ過ぎは良くないとするには、あまりにも心許ない理由のように感じます。
不飽和脂肪酸には様々な健康への好影響が知られています。
- 血中悪玉コレステロールを低下させる
- アレルギー疾患、高血圧、がんの予防
- 心疾患の予防
- 血栓の予防
- 血中中性脂肪を低下させる
など。
CMなんかで各社が健康アピールで強調している、DHAやEPA、オレイン酸、リノール酸などは全て不飽和脂肪酸です。
確かに、何事も食べ過ぎは良くないので限度というものはあると思いますが、少なくとも「ナッツは1日に○個まで」というような制限は必要ないはずです。
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